あなたはどんな気持ちで着ているか
サラリーマン時代、私はスーツを着るたびにジェームズ・ボンドをイメージしていました。颯爽と仕事をこなし、場の空気を変えるようなビジネスマン。スーツは自分にとって「武器」であり「男をかっこよくしてくれるもの」でした。
だからこそ既製品ではなくオーダースーツを選んでいました。体に合った一着を身につけることで自分の気持ちが整い、仕事への集中力が変わる感覚がありました。スーツはただの服ではなく、自分のあり方を形にするものだと思っていました。
その感覚が正しかったかどうかは後になってある同僚を見たことでより明確になりました。
「学生服の延長」という着方
職場に毎日同じスーツを着続けている同僚がいました。別に貧しいわけでも無頓着なわけでもありません。ただ、その人にとってスーツは「学校に行くから学生服を着る」のと同じ感覚で着るものだったのです。
「仕事に行く=スーツ」という思考。それ以上でも以下でもありません。
その後、さまざまな職場や業界の人たちと関わる中で気づいたことがあります。そういう着方をしている人でビジネスへの意識が高い人をあまり見たことがない、ということです。これは批判ではありません。ただ、装いへの意識とビジネスへの意識は案外つながっているということを多くの場面で感じてきました。
スーツを制服として着ている人は仕事そのものへの向き合い方もどこか義務的になっている場合が多いです。逆に言えば、スーツに意識を持っている人は仕事においても能動的であることが多かったです。
スーツは相手のために着るもの
私が辿り着いた答えはシンプルです。スーツは相手のために着るものだということ。
「あなたは誰として、何者として見られたいか」を決めてから着ます。自分がなりたい姿、相手に与えたい印象。そこから「逆算」してスーツを選びます。
取引先に信頼感を与えたいのでしょうか。チームのリーダーとして存在感を示したいのでしょうか。初対面の相手に誠実さを伝えたいのでしょうか。目的によって選ぶべき生地の色もシルエットもネクタイの色調も変わってきます。
- 自分のために着る — 自信を持って仕事に向かうための鎧
- 相手のために着る — 相手が受け取る印象を意識した選択
- 役割のために着る — その場でどう見られたいかの表明
この3つの意識が重なったとき、スーツは単なる「仕事着」を超えます。装いはビジネスにおける最初のコミュニケーションになります。
まとめ
Conclusion
スーツを着る前に「自分がどう見られたいか」を一度考えてみてください。その一つの問いが着こなしを変え、ひいては仕事への向き合い方を変えることがあります。
制服として着るスーツと意図を持って選んだスーツでは着ている本人の内側も周囲への見え方も確実に違います。その意識があるだけであなたの装いは「武器」になります。