なぜイタリア語?

スーツ生地の産地として世界的に知られているのがイタリアです。ビエラ(Biella)やクロトーネ(Crotone)をはじめ、国際的に名を馳せる生地メーカーの多くがイタリアに集中しています。

Loro Piana(ロロ・ピアーナ)、Zegna(ゼニア)、Cerruti(チェルッティ)、Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)。オーダースーツで使われる高級生地はこうしたイタリアのメーカーが多数を占めます。そのため生地の品質表示もイタリア語の略称がそのまま使われることが多く、世界標準のような扱いになっています。

EU域内では素材表示の基準として ISO の略称を使うことが定められており、この略称もイタリア語(またはラテン語)に由来するものが多いです。スワッチに書かれたアルファベットを読めるようになると生地の素材構成が一目でわかります。

生地表記一覧

以下はオーダースーツの生地見本でよく見かける略称の一覧です。

略称 イタリア語 日本語 備考
CO COTONE コットン(綿)
EA ELASTAN エラスタン スパンデックスとも呼ばれる。ストレッチ素材に少量配合されることが多い
LI LINO リネン(麻)
NY NYLON ナイロン
PA POLYAMIDE ポリアミド
PU POLIURETANO ポリウレタン
SE SETA シルク 高い光沢感が特徴。ドレッシーなスーツに少量配合されることが多い
VI VISCOSA ビスコース レーヨンの一種。最も歴史の古い再生繊維で光沢と柔らかさがある
WO LANA ウール スーツ生地の基本素材。ほぼすべてのスーツに使われる
WV LANA VERGINE ヴァージンウール 初めて刈り取られたウール。再生ウールより品質が高い
WS KASHMIR カシミア カシミアヤギの産毛から採れる希少な高級素材

特に覚えておきたい表記

一覧を全部覚える必要はありませんが次の3つは生地選びでよく登場します。

  • WO(LANA)— ウール:ほぼすべてのスーツ生地に登場する基本素材です。「WO 100%」は純ウール、「WO 98% / EA 2%」のようにエラスタンが混紡されているとストレッチ性が加わります
  • SE(SETA)— シルク:ウールに少量のシルクが配合されると光沢感が増します。「WO 95% / SE 5%」のような構成で高級ラインの生地に見られます
  • WS(KASHMIR)— カシミア:カシミアコートやカシミアスーツの生地に記されています。希少性から価格は高く、軽くて保温性に優れるのが特徴です

また「WV(ヴァージンウール)」と「WO(ウール)」の違いも覚えておくと便利です。ヴァージンウールは一度も使用・再生されていない純粋な新毛でスーツに使われる生地の多くがこれにあたります。スワッチに「WV」と記載されていれば、より高品質なウールの証と考えて良いでしょう。

まとめ

Conclusion

生地見本(スワッチ)に記された略称はイタリア語に由来するものが多く、世界標準として使われています。全部を覚える必要はありませんがWO(ウール)SE(シルク)WS(カシミア)の3つを知っておくだけで生地選びの会話がぐっと深まります。

「この略称は何ですか?」という質問もご相談の場でお気軽にどうぞ。生地見本を見ながら一緒に確認しましょう。